TSMの怒涛の3連続チャンピオン優勝で幕を閉じたALGS Year3 CHAMPIONSHIP。この大会が終了したことに伴い、3年目のALGSの大会スケジュールも全て終了となりました。今回は、およそ1年間にわたる長く熱い戦いを、APAC NORTHチームを中心に、まとめていこうと思います。まず、プロリーグ、そして3度行われた世界大会について時系列順に振り返っていきます。さらにAPEXのアプデに伴い、競技シーンにおいても構成や戦略の変化が見られました。この記事では、そちらについても詳しく解説していきます。
ALGS Year3
ここからはALGS Year3の成績を日韓チーム中心に簡単におさらいしていこうと思います。
ALGS Year3 split1 プロリーグ
ALGS Year3 split1 プロリーグは、NORTHEPTIONが大活躍。プロリーグ予選から勝ち抜いたチームですが、リージョンファイナルを除くプロリーグ終了時点で、強豪ひしめく中3位を獲得しました。ストームポイントを得意としており、satuki選手のIGLは世界的に見ても高い評価を得ていました。
総合1位は、やはりFNATICです。ALGS Year2 CHAMPIONSHIPで世界4位を獲得したチームは、日韓リージョンでも最強であることを見せつけました。
ALGS Year3 split1 プロリーグ リージョンファイナル
プロリーグ上位20チームで争われるリージョンファイナルは、史上最長13試合という大変苦しい戦いとなりました。結果的に15チームがマッチポイント点灯となったこの異例の戦いを制したのは、Crazy Raccoonです。日韓人気No.1チームの底力を見せつけてくれました!
ALGS Year3 split1 playoffs
日韓からプロリーグを勝ち抜いた10チームと、同じく世界の地域予選を勝ち抜いた計40チームで争われたALGS Year3 split1 playoffs。グループステージではNORTHEPTIONが2位に入るなど活躍しましたが、FINALSには駒を進めることはできませんでした。日韓チームからは、FNATIC、GANBARE OTOUSAN、fun123、ENTER FORCE.36がFINALSに進出しました。優勝はTSMとなり、日韓チームからはFNATICが最高順位である8位を獲得しました。
ALGS Year3 split2 プロリーグ
split1 playoffs終了後、人気チームRIDDLE456の解散や、FC destroy、FNATICといった有名チームにおいてもメンバー変更があり、大幅なロースター変更があったAPAC NORTHの各チーム。ALGS Year3 split1 playoffsで世界大会進出枠が10枠から9枠となってしまった中で、新生RIDDLE ORDER、そして前回惜しくもあと一歩のところで世界大会に進出することができなかったNAKEDが世界大会初出場を決めました。
ALGS Year3 split2 プロリーグ リージョンファイナル
リージョンファイナルでは、split1プロリーグとは真逆の展開となります。なんと、FNATICが史上最短4試合で決着をつけてしまったのです。プロリーグの成績からみて、世界大会出場が危ぶまれていたFC destroyですが、第4試合目でFNATICが決着をつけてくれたことにより、世界大会進出を決定づけました。split2 プロリーグより、FC destroyからFNATICへ移籍したUmichanLoveti選手が、前の所属チームを助けるというドラマのような展開となりました!この最短4試合での決着により、マッチポイントルールには新たなルールが追加となりました。大会ルールまで変えてしまうFNATICの強さは、もはや異次元ですよね。
ALGS Year3 split2 playoffs
ALGS Year3 split2 playoffsは日韓チームが大活躍。グループステージで各チームが驚異の成績をあげ、WINNERS ROUND 1にはなんと6チームが出場しました。そして、なんといってもLOSERS ROUND 2の2、3試合目のRIDDLE ORDERは本当に伝説ですよね。最終的にAPAC NORTHからは、FINALSに5チームも出場するという快挙を成し遂げました。結果としてDarkZeroが優勝し、日韓チームは、またしてもFNATICの10位が最高成績となりました。歴代最高順位の更新は無かったものの、APAC NORTHの躍進が止まらない大会であったのには違いありません。
ALGS Year3 LAST CHANCE QUALIFIER
たった2枠のALGS Year3 CHAMPIONSHIPの出場権をかけた最後の地域予選がLAST CHANCE QUALIFIERで、マッチポイントシステムで行われました。優勝はCrazy Raccoonでしたが、RAS選手の徴兵による影響に伴い、CHAMPIONSHIP辞退を表明。最終的に2位となったNORTHEPTION、3位となったLaugh TaleがCHAMPIONSHIP出場となりました。
ALGS Year3 CHAMPIONSHIP
この大会は数々の波乱を巻き起こしました。前回大会であるsplit2 playoffsで優勝したDarkZeroが、まさかのFINALSに進出できませんでした。さらに、これまで日韓勢最高順位を3大会連続で保持していたFNATICも、同じくFINALSに進出することができないという驚きの展開となります。そんな中、前回FINALSにあと一歩で進出できなかったRealizeが世界9位を獲得し、これが日韓勢最高順位となりました。優勝したのはTSMで、最後3連続チャンピオンを獲得するなど名門の意地を見せつけました。
APEXアプデの影響
ここからはAPEXのアプデの中で、競技シーンに影響のあったものを4つご紹介していこうと思います。
カタリストの登場
カタリストは2022年11月2日に新マップであるブロークンムーンと共に登場したレジェンドです。カタリストは、登場してから1週間でSplit1プロリーグが始まってしまったこともあり、すぐに多く使われるレジェンドではありませんでした。そのため、split1 playoffsでは使用率0.48%とかなり低い数字となっています。しかし、様々なアプデや能力調整に伴い、CHAMPIONSHIPでのピック率は77.58%にまで上昇。これはバンガロールに次ぐピック率2位となっています。カタリストは、他のレジェンドと比べると使用率に地域差があることでも有名です。split2プロリーグでは、日韓リージョンは24.44%、全体5位のピック率でしたが、NAリージョンでは、48.63%、全体3位のピック率となっていました。地域によってカタリストに対する評価が違っているのは面白いですよね。そんなカタリストですが、時系列からしても徐々にピック率が上昇しているレジェンドになりますので、Year4でも競技シーンでピックされ続けるのか注目です。
レジェンドのクラス変更
レジェンドのクラスのリマスターは、今回ご紹介するアプデの中で、最も大きな変更だったのではないでしょうか。競技シーンにおいては、ALGS Year3 split2プロリーグから、アプデが適用されています。この変更は、新たに5つクラスを設定し、そのクラス特有の能力をレジェンドに付与するというものです。特にその影響を受けたのは、バンガロール、カタリスト、ヴァルキリーと思われます。
ヴァルキリー
まずヴァルキリーについては、今までリコンキャラにいたこともあり、次の安置を読むことが出来ました。それがスカーミッシャークラスに移動したことに伴い、削除となりました。スカーミッシャーのクラスの能力は、ケアパケの中身を知ることが出来るというものになりますので、これは、安置がより重要となってくる競技シーンにおいては実質的なヴァルキリーの弱体化となりました。
バンガロール
次にバンガロールは、元々クラスを持っていなかったところから、新たにアサルトクラスに振り分けられました。バンガロールは、今までほとんど能力変更がされていない唯一のレジェンドでしたが、環境の変化に伴いYear3から競技シーンに登場しました。アサルトクラスの能力は、専用の武器サプライボックスを開けることが出来ることや、1スタックあたりの所持弾数の増加です。元々クラスを持っていなかったこと等も鑑みると、バンガロールは実質的な強化となったと思われます。
カタリスト
最後にカタリストです。カタリストはYear3から新たに登場したキャラクターですが、このクラス変更に伴い、最大の恩恵を受けたレジェンドと思われます。新たに作られたコントロールクラスに属し、次の安置を読むことができるようになりました。この安置を読むことができるというのは、競技シーンにおいて非常に重要なため、コントロールに属するレジェンドは実質的な強化となりました。このクラスには、他にもコースティックやワットソン、ランパートが属していますが、カタリストは特にアルティメットが強いこともあり、先ほども述べたようにピック率が増えていきました。
シアの能力調整
シアは、ALGS Year3 split1プロリーグでヴァルキリーに次ぐピック率2位となったレジェンドです。去年のCHAMPIONSHIPでFURIAが採用し、FINALSでは大量ポイントを獲得し続けたことでも話題となりました。
以前のシアは、本来は索敵キャラではあるものの、アビリティによる回復・蘇生阻害があるレジェンドで、それにより、他の索敵系レジェンドに比べると、ファイトに向いているレジェンドとなっていました。しかし、6月20日に行われたアプデにおいて、シアがリワークされ、新たにスタンの追加や、アビリティ無効時間が大幅に上昇。それに伴い、より攻撃的なレジェンドとなりました。この後に行われた世界大会やそのスクリムにおいては、シアのアビリティを警戒するコールが多数聞かれていました。実際にALGS Year3 split2 playoffs FINALSでは、58.57%のピック率となっており、これはホライゾンに次ぐ2位の結果となっています。
しかし、その後8月9日に再度能力調整が入り、シアのアビリティが弱体化され、結果ALGS Year3 CHAMPIONSHIPではなんと0.52%までピック率が減少し、およそ1年に及ぶシア環境が、これで一旦終わりを迎えた形となりました。
脱出(エバック)タワーの登場
シーズン17で初登場した脱出タワーは、競技シーンの構成戦略をより幅広いものにしました。実際の競技シーンに登場したのは、ALGS Year3 split2 playoffsからとなっています。なぜこのアイテムが競技シーンに影響を与えたのかというと、ヴァルキリーのピック率に大きく関係しているからです。競技シーンでは、長らくヴァルキリーが大人気キャラに君臨していました。それはウルトであるスカイハイダイブの存在です。
これは、戦闘から逃げることもできるし、安置移動にも使えることもあって非常に便利なものでした。特にストームポイントはワールズエッジに比べてマップが広いこともあって、ヴァルキリーが重宝されていました。しかし脱出タワーが新たに登場したことに伴い、ヴァルキリーのウルトと同様の効果を持つこともあって、ヴァルキリーの枠が、別なレジェンドに変わっていきました。実際にヴァルキリーのピック率は、split1 playoffsでは80.12%でしたが、CHAMPIONSHIPでは12.89%にまで減少しています。しかしながら、脱出タワーの出現はランダムであることも考えると、ヴァルキリーのウルトの安定性は高いため、圧倒的なピック率ではないものの、まだまだ選ばれているのが現状です。
まとめ
今回は、ALGS Year3の大会ごとでの日韓チームを中心とした成績と、競技シーンに関連のあったゲーム内アプデとその影響についてまとめてみました。皆様はこの1年間を振り返ってみてどのシーンが一番印象に残っていますでしょうか。私はやはり、ALGS Year3 split2 playoffs のLOSERS ROUND 2の2、3試合目のRIDDLE ORDERの試合です。あの2試合は本当に感動しました!ALGSでは他にも様々な感動シーンがたくさんあります。私たちファンを楽しませてくれるALGSと選手たちの姿からますます目が離せません。ALGS Year4も楽しみですね!