「RTS」は「FPS」よりも先に注目を集め、eスポーツ人気の火付け役となったゲームジャンルです。リアルタイムストラテジーの略称で、基本的に1VS1。1人のプレイヤーが複数のキャラクターを操作し、対戦するゲームを指します。『StarCraftⅡ』、『Age of Empires』シリーズが有名で、戦況を読みながら策略を立て、コントロールしていく必要があります。
日本では知名度が低いですが、世界では熱狂的なファンが多いゲームジャンルの1つです。今回は、そんなリアルタイムストラテジーの概要やeスポーツ競技にもなっているおすすめゲームタイトルをご紹介し、魅力について触れていきます。
RTSとは?
RTSは「Real-time Strategy(リアルタイムストラテジー)」の略称で、ストラテジーには「戦略、策略」という意味があります。リアルタイムに進行していくゲームの中で、戦略や策略を立てながら、敵と対戦するゲームジャンルのことを指しています。
瞬時に戦況を把握し、戦略的に行動しなければならない
基本的に、プレイヤーは俯瞰視点でフィールドの状況を確認し、複数のキャラクターを操作します。将棋や囲碁のような戦略性が必要な対戦ゲームですが、ターン制ではなく、常に状況が変わり続けている点が特徴です。目まぐるしく変化する戦況を把握し、どう対処し、勝ち筋を見出していくのか。プレイヤーの力量が問われる、非常に難易度の高いゲームジャンルです。
MOBAとの違いは?
MOBAと混同される場合もありますが、厳密に言うとMOBAはRTSから派生したジャンルです。どちらもルールは似ていますが、参加するプレイヤー人数に明確な差異があります。MOBAは主に5VS5で対戦をする複数プレイヤー参加型で、1人1キャラクターを操作します。それに対し、RTSは1人VS1人のゲームで、1人のプレイヤーが複数キャラクターを操作します。ゲーム性は似ていますが個人戦と団体戦のような違いがあり、MOBAは個人の実力だけでなく、チームワークが重要視されています。
MOBAについてより詳しく知りたい方は「MOBAとは?おすすめタイトル」をご覧ください。
RTSの代表ゲーム『StarCraftⅡ(スタークラフト2)』

代表作は、Blizzard Entertainment社が制作した『StarCraftⅡ(スタークラフト2)』と言われています。1998年に発売された『StarCraft』の続編で、元祖RTSゲームといったらこのシリーズというほど、人気の高い作品です。なんと、「世界で最も多く売れたRTSゲームタイトル」として2009年06月に、ギネス認定されています。『StarCraftⅡ』は2010年に発売されてから、アップデートや拡張パックといった追加要素を経て、最終拡張パック「Legacy of the void」を2015年に発売しました。
3つの種族の異なるユニットたちは、絶妙にバランス調整されている
「Terran・Protoss・Zerg」という3つの種族から1つを選び、宇宙を舞台に存亡をかけて戦います。種族ごとに生態系・発展体系・ユニット性能が異なっており、それらの特性を熟知し、コントロールする必要があります。強さのバランス調整がしっかりと行われている点が高く評価されており、人気の理由の1つ。根強い人気があるRTSタイトルで、大会の賞金総額は約38億円にものぼります。
その人気と競技性の高さから、eスポーツシーンの起源として知られ、”eスポーツのゴッドファーザー”とも言われています。
eスポーツについて、より詳しく知りたい方は「eスポーツとは?代表ゲームをご紹介」をご覧ください。
eスポーツ競技に採用されている、RTSおすすめゲームタイトルランキング
RTSは歴史があるゲームジャンル。だからこそ、発売されてから長い年月が経っても、愛され続けているタイトルが多くなっています。ここからは、古いタイトルから新しいタイトルまで、eスポーツ競技に採用されている人気のタイトルをご紹介します。
RTSおすすめゲームタイトル第1位:『WarcraftⅢ』

『WarcraftⅢ(ウォークラフト3)』はBlizzard Entertainment社が開発をしており、前述した『StarCraftⅡ』の姉妹作。『StarCraftⅡ』は宇宙が舞台のSFの世界がモチーフでした。それに対し、『WarcraftⅢ』はエルフやドワーフといった、剣と魔法の西洋ファンタジーの世界が舞台の作品です。発売は2002年頃ですが、2020年にリマスター版「Warcraft III: Reforged」が発売されており、人気の高いRTSゲームのタイトルの1つです。
西洋ファンタジーらしい4つの陣営から選択
1試合のプレイ時間は15分から長くても2時間程。本タイトルは「ヒューマン・オーク・アンデット・ナイト&エルフ」の4つの陣営から選び、様々な生物や種族を操作し戦います。それぞれの陣営は全く異なる特徴を持っているものの、各陣営の力のバランスは絶妙に拮抗されており、見事な調整がなされています。各陣営ごとに”ヒーロー”と呼ばれる主役級のユニットが存在する点が大きな特徴です。ヒーローをどう動かすかは勝敗に大きく関わってきます。
RTSおすすめゲームタイトル第2位:『Age of Empiresシリーズ』

『Age of Empires(エイジオブエンパイア)』は、アンサンブルスタジオが開発するRTSゲームシリーズで、略称は『AoE』。1997年に初代『Age of Empires』が発売され、2005年に『Age of Empires III』、2021年に『Age of Empires IV』が発売されました。
歴史上の文明を発展させ、戦闘をする
歴史上の文明がモチーフとなっているのがシリーズを通しての特徴です。初代は石器時代から鉄器時代まで、第2作目は中世、第3作目は大航海時代、第4作目は再び中世を舞台としています。1試合のプレイ時間は15分から2時間程。リアルタイムで1つの文明を持つ街を育て、規模を大きくしていき、国力を増強した上で同じ条件下の中で育成された他の文明と戦争をするという内容。
細かく作り込まれた建築要素、美麗グラフィックも魅力
戦闘だけでなく、資源を集めて建物や施設を建てる「建築シミュレーション」要素も非常に重要。1試合1~2時間という時間の中で、文明を築き上げ、国を発展させていくのはやりがいがあります。最新作にあたる『Age of Empires IV』は最近発売されたタイトルだけあって、グラフィックスの美しさも特筆すべき点。4Kディスプレイにも対応されるため、リアリティ溢れるゲーム体験が可能となっています。
チュートリアルの完成度が高く、丁寧に基本や遊び方を説明してくれているのも有り難いです。はじめてRTSジャンルをプレイする方に最もおすすめできるタイトルです。
RTSおすすめゲームタイトル第3位:『クラッシュ・ロワイヤル』

『クラッシュ・ロワイヤル』は2016年にSupercell社が開発した、スマホ向けタイトルです。本タイトルは、人気ゲーム『クラッシュ・オブ・クラン』の姉妹作。『クラッシュ・オブ・クラン』のお馴染みのキャラクターも登場します。1試合のプレイ時間は3分という短さで、カジュアルにRTSジャンルを楽しみたい人でも気軽に遊べる点が魅力です。気軽に手を出しやすいゲームではありますが、大会が開催される程の高い競技性を兼ね揃えています。
カードを使って相手の拠点を制圧!新感覚RTSゲーム
プレイヤーは8枚のカードで構成された”デッキ”を用いて相手タワーの破壊を目指すというゲーム内容。カードそれぞれにはコストが存在し、時間経過で貯まる「エリクサー」を消費してカードを使用できます。エリクサーと相談しながら、どのカードを使用するか考える様子は、正にストラテジーゲームそのもの。3分の間、残り1分となるとエリクサーが2倍速で溜まる「エリクサー2倍タイム」が発動。サドンデスでは「エリクサー3倍タイム」に。瞬時の判断が求められ、手に汗握る戦いとなるでしょう。必要な操作はカードを配置するだけというシンプルさですが、単純だからこそ1つの選択ミスが命取りになります。短い時間と簡単な操作の中に、RTSの基本や楽しさが詰め込まれた優秀なタイトルです。
RTSを気軽に楽しめる、ストラテジー系スマホゲーム3選
「初心者なので不安…」という方には、スマートフォン向けのRTSゲームがおすすめ。今回は、評価の高いゲームタイトル3つをピックアップしてご紹介します。手軽に空いた時間に遊べるものが多いので、興味がある人は遊んでみてくださいね。
RTSおすすめスマホゲーム1:『ロードモバイル』

全世界で6000万人ものプレイヤーがいる、大人気なRTSのスマホゲームです。プレイヤーはロード(王様)となって国力を強化し、大規模な戦争を行い、領土を増やします。「施設を建築」「軍隊を強化」「領土を拡張」といった、本格的なRTSらしい様々な要素に触れられます。ヒーローを育成することができる点も、本作の特徴です。戦いの準備を終え、CPUやプレイヤーたちと戦う際は盛り上がります。
RTSおすすめスマホゲーム2:『Rise of Kingdoms -万国覚醒-』

全世界で1億ダウンロードを突破した、根強い人気のあるスマホゲームです。本作は、歴史ファンにおすすめしたい、RTSゲームです。「源義経」や「曹操」、「アレキサンダー大王」といった歴史的英雄や偉人、武将などが登場するのが特徴です。世界中にプレイヤーがおり、自動翻訳機能も充実しています。11カ国の中から好きな国を選択し、文明を自分の手で築き上げていきます。
RTSおすすめスマホゲーム3:『アンクラウン』

ライトRTSというジャンルの、シンプルで初心者にもわかりやすいスマホゲームです。建築や街作りなどの要素は排除し、「英雄と兵士を戦わせるのみ」というゲーム性。1試合は4分程度という短さなのでカジュアルに遊べます。簡単かと思いきや、様々な地形が存在し、拠点の奪い合いには戦略性が求められます。シンプルながらに真剣な勝負ができるゲームタイトルです。
RTSの魅力とは?
RTSはeスポーツの中でFPSよりも先に注目され、多くの大会が開催されてきました。タイトルごとにそれぞれ異なる特徴はあるものの、根底はどれも同じです。eスポーツの世界で急速に発展を遂げてきた魅力とは何なのか、解説いたします。
- 【RTSの魅力1】幅広く、深い知識が勝利への鍵
RTSのゲームタイトルには、数多くのユニットが用意されています。それぞれのユニットは全く異なる性質を持っています。それらのユニット1体1体の情報を正確に把握していることは、勝つためには必要不可欠。テクニックだけでなく、幅広く、深い知識力が重要です。
- 【RTSの魅力2】戦況を読み、瞬時に対応する力が必要
RTSはリアルタイムに変化していく戦況を正しく理解し、臨機応変に対応する力が求められます。1人で複数の操作をしなくてはならないので、他のゲームジャンルに比べてマルチタスク能力も重要です。「敵陣に進行」「敵陣から防衛」「資材の確保」「施設の建築」など様々なタスクを同時並行で進めなくてはなりません。戦略的に進める中で、それらが嚙み合い、狙い通りに試合が進むとプレイヤーは達成感を感じられるでしょう。
- 【RTSの魅力3】己の力だけで勝敗が決まる、実力の世界
MOBAとは違い、1VS1で対戦することになるため、純粋に自分の実力だけで勝敗が決まる点はRTSの1番の魅力です。1人で複数キャラクターを操作するため、その分高度な技術が必要になりますが、勝利した時の嬉しさは計り知れません。チームメンバーとの連携よりも、1VS1のプレイヤー同士の駆け引きを楽しみたい方に適したゲームジャンルです。
まとめ
RTS(リアルタイムストラテジー)は1VS1で、プレイヤーが複数キャラクターを操作して戦うゲームジャンルです。『StarCraftⅡ』で人気を博し、『Age of Empires』シリーズ、『クラッシュロワイヤル』など数々のゲームが登場しています。チーム戦にはない、個人技だけの戦いは緊張感があり、広い知識と高度な戦略性が求められます。1試合ごとの情報量の多さと瞬時に対応するプレイヤーたちの熱い戦いは見ている人たちが圧倒されるほど。
MOBAという新たなゲームジャンルに派生しており、その可能性は計り知れません。RTSはeスポーツの発展の先駆けとなったジャンルで、世界中の多くのプレイヤーから愛され続けています。今後、どのようにeスポーツやゲームに影響を与えていくのか期待しましょう。