Casumba Media Ltd.によるeスポーツ意識調査実施、知名度は限定的か

eスポーツに盛り上がる人の画像

 Casumba Media Ltd.は10月28日、セルフ型アンケートツール「Freeasy」を通じてオンラインで実施されたeスポーツに関するアンケート結果を公表した。今回のアンケートの母数は1000人となっており、そのうちeスポーツに対する積極的な関心を見せた89名については追加のフォローアップアンケートを行っている。

(アンケート結果のPDF掲載URL:https://cdn.oncasitown.com/wp-content/uploads/2025/10/esports-japan-trends.pdf) 

日本人はどのくらいの頻度でeスポーツを視聴しているのか?

全体としては、まだ多くの日本人がeスポーツを視聴していないものの、視聴経験がある人(全体の約25%)の中では、継続的な視聴が定着しつつあることが明らかになっている。そのうち3人に2人が「月1回以上」視聴しており、さらに4割は「週1回以上」視聴している。

これは、「たまたま観る」というような一過性の視聴ではなく、eスポーツを習慣として楽しむ層が確実に増えていることを示している。

 「見ない」と答えた層は女性の方が多いが、月に一回未満や週に一回程度といったペースでは女性の方が男性を上回る回答となっている。これを見るに男女間での性差によるeスポーツコンテンツ視聴の有無は余り考えられないと見て良いだろう。

「ゲームをしない」人口もまだまだ多い

 ゲームをプレイしているかというアンケートに対しては、回答者1,000人(男性412人、女性588人)のうち、約半数(49.5%)は「ゲームをしない」と答えた。ゲームをする人の多くはカジュアルゲーマーで、モバイルのみ心が24.7%、コンソール・PC利用が17.9%。コア・競技志向(4.0%)やプロ・セミプロ・コーチなど(3.7%)はごく少数。男女差も見られるようで、女性はゲームをしない人が多く(女性約55%、男性約41%)、男性はコンソール・PCのカジュアルプレイヤーが多い(男性約26%、女性約12%)傾向がある。コア・競技志向の層も男性が多めだが、プロ・セミプロでは男女差はほとんど見られない。

またeスポーツについて現地イベントに参加したか否かという結果について以下に示すが、これについては「2割も関心を持っている層が居る」と捉えるか、それとも「未だ8割程度のユーザーは現地イベントに対して関心を持っていない」と捉えるかで大きく見えてくるものが変わりそうな結果だ。複数選択可の為全体合計は1000を超えるが、それでも参加していない層が8割いるというのはまだまだ文化的定着と言い切るには早計であると思われる。

eスポーツ視聴者が最も利用しているプラットフォームは何か?

日本のeスポーツ視聴においては、YouTubeおよびYouTube Liveが圧倒的なシェアを誇り、約8割の視聴者が利用していることが判明した。その一方で、ニコニコ動画やOPENREC、ABEMA、Twitchなどの他プラットフォームは大きく差をつけられており、限定的な利用にとどまっている。もちろんTwitch視聴などを呼びかけるゲームは多いが、現状はやはりYoutubeの宣伝効果はかなりのものと見て良いだろう。プラットフォームの一極集中傾向により、クリエイターやチームはYouTubeを中心にファンとの接点を築く戦略が効果的であることが示唆されている。

 一方で興味深かったのは「eスポーツをスポーツと見なすか」という項目に対する回答だ。回答者1,000名(男性412名、女性588名)のうち、意見が大きく別れた結果となった。「正式なスポーツとして認めるべき」と答えた人は約9.4%、「部門によってはそう思う」が約19.8%、「スポーツではない」が約31.1%、そして最も多かったのは「わからない」で約39.7%。全体として不確実な態度が多く、否定的な回答(31%)が肯定的な回答(9.4%)を上回り、約2割が「部門によっては」という中間的な立場を示した。

男女差も明確に見られており、男性は「スポーツではない」と答える割合が高く(男性37.4%、女性26.7%)、一方で女性は「わからない」と答える割合が高くなっている(女性44.4%、男性33.0%)。「正式なスポーツとして認めるべき」や「部門によってはそう思う」については、男女差はごくわずかであった。

 現状肯定派の意見は3割程と低く、7割前後が否定、もしくは曖昧な態度となっており、加えてプロプレイヤーが多い男性側に対して「スポーツではないと思う」という回答が出た事はこの文化に対する捉え方について、男性側から否定意見が出やすい証左と見て良いだろう。特に肉体的な運動を意味する事が多い「スポーツ」という言葉について、実際には頭脳や反射神経を手先を使って競い合う娯楽であるゲームの要素と結びつけるのは、抵抗感がある層も居ると見て良いだろう。

日本においては、日常的なコンテンツの一部としてeスポーツ文化が根付きつつある事は見て良いだろう。現に回答者ベースの割合だが人口の4分の1がすでに視聴しており、その多くが毎週のように、YouTubeでの配信やハイライト動画、クリエイターとのコラボを通じてeスポーツ文化に親しんでいる。

 地域の小規模イベントやカフェでの集まりが新規ユーザーを取り込む窓口として機能しており、ゲームをプレイしていないというユーザーであっても認知自体はされていると見て良いだろう。

 競技性の高い分野や大規模イベントにおける男女差は依然として存在しており、またコアなプレイ人口はそこまで多くない為、後進が出る土壌自体が育つのかは不明瞭な所である。一貫したスケジュール、分かりやすいストーリーテリング、親しみやすい地域イベント、そして堅苦しくない空間づくりがeスポーツに対するイメージアップの鍵となると見て良いだろう。

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