若手プレイヤーの創出に勤しむREJECTとStealth Eagle.の取り組み
eスポーツ普及の為に必要なのは若年層における強力なプレイヤーの育成である。現役プレイヤーが第一線で歩み続けられる時期は、スポーツ全般という括りをした上でも相当に短いのがeスポーツ業界である。それ故にセンスあふれる若年層プレイヤーの中から、今後の趨勢を左右する名プレイヤーを発掘する事に各チームは躍起になっている。そんな状況の中で、2つのチームの動きについて今回は追いかけてみる事にしよう。
高校生選手を擁するStealth Eagle.とSE Groupの歩み
eスポーツチーム「Stealth Eagle. (ステルス・イーグル)」は、2023年2月に設立され、Fortnite(フォートナイト)を中心に活動しているeスポーツチームだ。これまでにも複数の大会に出場し、競技活動を継続している。メンバーには15歳という若手も混じっており、積極的にトライアウトを行いメンバーの拡充に務めている。

このたび、群馬県をホームタウンとして活動を開始することと、運営母体が2025年4月設立のSE Group株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役:荒木翔吾)である事を10月29日に発表する運びとなった。同チームは地域イベントへの参画、若年層を対象とした育成プログラムの実施、独自イベントおよび大会の企画・運営など、新たな取り組みを順次展開するとの事である。eスポーツに対して振興を積極的に行う群馬県という土壌の上で、将来的なプロチーム化を目指して活動を行っていくとしている。
SE Group株式会社は設立が2025年4月と非常に若い企業だが、チームの運営だけでなくゲームの大会イベント開催や動画制作といったWebメディア事業などを行っており、今後のチームの運営や拡大がどのように行われていくのか期待をしたい所である。なお、チームについては現在個人スポンサーにも頼っている状況であり、経済状態としてはそこまで潤沢な環境ではないようだ。これからの活躍次第でどれだけ状況が変わるのか、注目が集まりつつある。
REJECTの新企画「REJECT SF6 Div. YOUTH」

株式会社REJECT(本社:東京都港区、代表取締役:甲山翔也)が運営するプロeスポーツチーム「REJECT」は、STREET FIGHTER部門における次世代を担う若手選手を育成・支援する新プロジェクト「REJECT SF6 Div. YOUTH」を発足することを10月29日に発表した。
REJECTはこれまでも「ハイタニ登竜門」をはじめとする若手支援を通じ、有望な人材の発掘と成長を後押ししてきた実績を持つ。新たに立ち上げる本プロジェクトでは、その取り組みをさらに発展させ、若手競技者の育成と競技シーンの活性化を目指していくとしている。
初期メンバーとして加入するのはtako/雄次郎/eguto/ひなお の4名の選手。いずれも大会実績や日々の活動で実力と将来性を示してきた注目の若手とされている。今後は「REJECT YOUTH」の成長を軸にした新たなイベント展開も予定しているとの事で、同社が掲げるマーケティング戦略の一環として若手プレイヤーへの支援を行う姿勢を取っていると見て良いだろう。
現在REJECTはストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025 Division Fに参戦中であり、全6チーム中2位につけている好成績を残している。同チームとしてもさらなる戦力拡充を目指したい所であるだろうから、それだけに今回の企画に掛ける意気込みも相応のものと見て良いだろう。
eスポーツにおける若手育成の重要性
eスポーツ業界は先述した通り年齢的なピークが若い業界でもあるが、それ以上に業界の入口が未だに周知されにくい状況が続いているという点で若手には敷居が高い領域だ。現状スカウト活動に頼るしかない中で優秀な選手を引き抜き続けるのは現実的な話ではない。そのため育成のためのスクールといった組織を作り、コンプライアンスも含めた露出に対する教育体制などを整えていく必要は大いにあるだろう。
そしてそれは今後のゲーム市場の発展にも寄与する事になる。というのも、動画・音楽・リアルエンタメ(遊園地・レジャー施設・ライブ・イベントなど)といったエンタメコンテンツが飽和している中で、“タイム・パフォーマンス(タイパ)”への意識が高まっていることと関係する。ゲーム自体はある程度の時間を取って集中して行うコンテンツである以上、ごく短時間に強烈な要素や話題性の強い物を見つけるのが必ずしも容易ではないからだ。ゲームというコンテンツをエンターテインメントに昇華することで「見て楽しむ」事が出来る環境を造成出来るようになれば、結果としてゲーム離れを防ぐことにも繋がるのである。
まだまだ開拓の余地が多くある若手ゲームプレイヤーを巡る事情は、今後のゲーム業界の趨勢を占うファクターといっても過言ではないだろう。