3月8日、9日にかけて2024シーズンの王者を決めるカプコンカップ11の決勝が行われました。会場は両国国技館と日本のホームで開催され注目を集めました。8日に個人戦、9日にチーム戦と二つの部門が行われました。
結果としては、個人戦ではFUKUSHIMA IBUSHIGIN所属のKakeru選手が優勝、チーム戦では日本代表のGood8Squadが優勝とどちらも日本人選手が優勝する快挙を達成しました。本記事ではどんな戦いが繰り広げられたかを紹介していきます。手に汗握る熱戦の様子をぜひチェックしてみてください。
個人戦優勝のKakeru選手

8日に行われた個人戦の決勝戦では、TOP8に残った日本人選手が3名。その中でもウィナーズサイドで勝ち抜けているのはKakeru選手のみと、両国国技館での期待を一番に背負う選手として戦いました。
ウィナーズの決勝では今季日本のSFLに出場していた日本地域ともなじみ深い韓国の強豪選手であるLeshar選手との対決になりました。Kakeru選手の持ちキャラであるJPとLeshar選手の持ちキャラであるエドはどちらも最上位キャラだったところから、弱体化を受け使用人口が減ったという経緯を持つキャラです。
しかし、その中でどちらの選手もそのキャラをやりこみ、全1とまでの実力と名声を手にしてきました。どちらが勝ってもおかしくない対戦カードの中、なんとKakeru選手が3-0でLeshar選手を下し決勝へと駒を進めました。
ダブルエリミネーションが採用されている今大会ではウィナーズで一度負けるとルーザーズに落ち、そこでもう一度負けてしまうと敗退というシステムになっています。そのため、ウィナーズが有利な状況の中、Kakeru選手はその有利を崩すことなくウィナーズ側での決勝進出を果たします。
食らいつくチリの新星
ルーザーズ側から決勝に進出したのはなんとチリの15歳の少年、Blaz選手です。Kakeru選手も27歳とスト6のプロの中では若手と呼ばれますが、Blaz選手はそれよりもさらに1周りも若い選手です。使用キャラもリュウと決して評価が高いキャラではない中、若々しいプレイで観客をひきつけ、AngryBird選手やLeshar選手などの名だたる競合を破り決勝進出を果たします。
しかし、そんなBlaz選手をルーザーズに落とした本人こそKakeru選手。持ちキャラのJPを使い、立ち回りの圧倒的強さを見せつけ見事優勝を果たしました。優勝インタビューでも新婚のエピソードを語るなど可愛らしい人望も人気のプロゲーマーです。
元祖最強チームG8Sの帰還!

9日に行われたチーム戦では日本代表としてGood8Squadが出場し見事優勝を果たしました。チーム戦はSFLと呼ばれるチームでのリーグ戦を日本、アメリカ、ヨーロッパと3つの地域で行い、優勝したそれぞれのチームで決勝が行われます。Good8Squadはリーダーのガチくん選手、ぷげら選手、カワノ選手の中堅層の年齢3人を主軸に、傭兵であるYHC-餅選手を足したチームです。
このチームといえばやはりスト5の時代に開催された第一回SFLワールドチャンピオンシップの優勝チームというイメージが強い人も多いでしょう。スト5ではそれぞれが驚異的な強さを発揮し、最強のチームいう名にふさわしい結果を残していました。
しかし、スト6の初年度に行われたSFL2023では予選敗退と悔しい結果に終わります。それでも各選手の折り紙付きの強さは変わらずSFL2024で再びの優勝。最強のチームという称号を再び手にするべく、カプコンカップ11に臨みました。
たちはだかる3人のキンバリー
優勝をかけたアメリカ代表のFly Questとの最終戦。相手選手3人をすべて倒せばG8Sの優勝が決まるという局面でFly Questがまさかの行動に出ます。SFLではホームとアウェイに別れて行われます。アウェイ側のチームが先にプレイヤーと使用キャラを申告したのちに、ホーム側がそれぞれに誰が当たるかというのを決めることができるルールとなっています。ここでアウェイのFly Questがなんと3人全員キンバリーでオーダーを決定するという異例の事態が発生。

キンバリーは最上位のキャラではないものの苛烈な攻めが特徴的で、大会のような重要な局面では特に当たりたくないキャラクターです。さらに、ホーム側のメリットとしてそれぞれが得意なキャラと対戦することができるという点がありますが、3人キンバリーの場合は誰がどの順番で出てもキンバリーと向き合わなくてはなりません。
まさに勝ちのための究極形ともいえるオーダーです。しかし、先鋒、次鋒とそれぞれガチくん選手、ぷげら選手が出場し2人とも接戦の末勝利。残る大将戦Punk選手対カワノ選手ですべてが決まる様相となりました。
大将戦では3先で結果が決まるという局面の中、Punk選手が2本選手。もうあと1本も落とすことができない極限下の状況でカワノ選手はプレッシャーに負けず2本もぎ取りフルセットになります。さらに畳みかけるように最終セットの1ラウンド目をカワノ選手がとるもののPunk選手も負けじと2ラウンド目を取りフルセットフルラウンドのどう転んでもおかしくない状況に。まさに一進一退の攻防になりました。
迎えた最終ラウンドで流れを取ったのはカワノ選手。相手の対空釣りに惑わされず着地に技を決め、さらに切り返しのSA1をあらかじめカバー。さらにはそこから怒涛の4連続投げで最終ラウンドを取得。圧巻の実力を見せつけ、見事チームを優勝へと導きました。
来シーズンのカプコンカップも両国国技館での開催!
カプコンカップ11の試合がすべて終了したのちに、カプコン代表取締役より来シーズンのカプコンカップに関する発表が行われました。その中身は、なんと来シーズンの決勝も両国国技館で行われるという内容でした。ストリートファイターの大きな大会は海外で開催されることが多く、公式大会であるカプコンカップ、そして世界最大級である格闘ゲーム全体のイベントEvoも海外で開催されていました。
しかし、ストリートファイター6の日本における人気の高さにより、カプコンカップ11は日本開催となり決勝が行われました。日本発である格闘ゲームという文化を、日本の格闘技の聖地である両国国技館でおこなうというのは非常に重要な意味を持ちます。
また格闘ゲーム全体のイベントであるEvoの日本版であるEvo Japanも2023年より毎年開催されており、2025年の開催も決定しているなど日本における格闘ゲーム人気の再燃を表しています。かつて社会現象となったストリートファイター2の全国大会も両国国技館で行われた歴史もあり、日本における格闘ゲームの歴史が塗り替えられようとしている瞬間でもあります。
まだまだ発展を続ける格闘ゲームコミュニティ
日本開催のカプコンカップで2部門とも日本人が優勝と怒涛の勢いを見せる日本の格闘ゲームコミュニティです。昨年は韓国の強豪選手であるDRX所属のLeshar選手が日本のチームRejectとしてSFLに参戦や、今年は中東の強豪選手であるAngryBird選手、BigBird選手がRejectに入るなど海外のプレイヤーをも巻き込んで盛り上がりを見せています。
また、先日はカプコンカップを唯一2度制覇した経験の持つMenaRD選手が、格闘ゲーム界におけるレジェンドであるウメハラ選手に直接対決を申し込むなど、大会外での注目も集めています。2025年シーズンも新たな発展と活躍に目を離せません。