ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025は混戦模様 広島発の広島 Team IxaがDivision F首位に
「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2025」は大ヒット対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズを使用した、カプコン公式チームリーグ戦である。2018年より始まり、8シーズン目を迎える2025年シーズンは、シリーズ最新作『ストリートファイター6』をプレイタイトルとして開催。全12チームが参画し優勝をかけて激闘を繰り広げる。
チームは6チームごとにDivision SとDivision Fにそれぞれ分けられ、各チーム3名が先鋒・中堅・大将として出場。先鋒と中堅が相手チームに勝利すると10ポイント、大将が勝利すると20ポイントが勝利チームへと割り振られる事になる。なお、ポイントが同じになった場合は選出されていないリザーバー同士での試合となる。そのため、1節の試合ごとに1チームが獲得できる最大ポイントは40ポイントとなる。
また1節ごとにチームには「Home」「Away」の設定が付与されており、Away側は事前に操作キャラと操作タイプを運営に申告し、Homeチーム側はその情報を受け取って対策を立てやすいキャラや操作タイプで挑戦する事が出来るという変則的なルールも搭載。一概に強弱がつきにくい試合システムとなっている。
今大会のなかでも割と波乱含みなのは、Division Fの方だ。REJECTやDetonatioN Focus Meといった強豪がエントリーしており、もちろん両チームとも一切の手加減無しにしのぎを削るのである。対戦相手としてはたまったものではないのだが、そういった中で両者を下し、現状首位となっているのが広島発のeスポーツチームである広島 Tema Ixaである。
産業振興も支える同チームの意気込み
広島 Tema IxaはDivision Fスタート以降、快調な試合展開を見せている。2節目こそREJECT相手に敗北を喫したものの、1節目は中堅・大将が勝利し、3節目と4節目はストレートで勝利を飾っている程に調子が良くなっている状況だ。そのため総得点は120ポイントとなっており、2位のREJECTとは10ポイントの差をつけている。上位3チームまでがプレイオフ進出可能となっている中で、現状同Divisionトップというのは大きなアドバンテージだ。
同チームのチーム説明には「勝敗だけでなく「魅せる試合」を展開し、皆様に楽しんで貰えるよう、応援してもらえるよう、そして、地域振興のお役に立てるように、尽力いたします。少し先の未来、ゲームを観戦しながら余生を過ごすような世の中がきっと来ます。そうなった時に、我々が地域の皆様から愛されるチームになれていたら嬉しいです。」と書かれている。他のチームの紹介と比べると随分と奥ゆかしいが、それもそのはず。REJECTやDetonatioNなどのチームは大手企業がスポンサーとなりエントリーを果たしているが、Team Ixaは広島国際空港株式会社や、もみじ饅頭などで有名な和菓子メーカーやまだ屋、ふりかけメーカーとして有名な田中食品など「地域に根ざした企業がスポンサーとなって、同チームを支えている」のである。
実際に同チームを運営する株式会社ヤルキマントッキーズは、東広島市ふるさと納税の返礼品として同チームのグッズを提供したり、あるいはグッズの公式販売やMinecraftを通したプログラミング教室などを開催している。それでいて同チームは多数のプレイヤーを抱えており、ストリートファイター6のみならずグランツーリスモ7、ギルティギア ストライヴ、Call of Dutyに大乱闘スマッシュブラザーズからクラッシュ・ロワイヤル、果てはARを用いた運動形式のスポーツコンテンツ「HADO」まで、実に様々なタイトルをカバーしている。これだけの選手を抱えながらも、スポンサードが大手企業ではないという特異性は、eスポーツの有名チームとしては珍しいケースである。
とはいえチームとしての実績も相応にある。ストリートファイターリーグでは昨年プレイオフへの進出を果たしており、そのうえで今回の快進撃となっているのだからその実力は確かなものだろう。立ち位置としてはDivision SのSaishunkan Sol 熊本や名古屋NTPOJAと似たようなものであり、後者のチームは現在第3位に付けている。
ここまでしのぎを削って戦うからには相応のリワードも用意されており、太陽ホールディングスがスポンサーを務める今回は、シーズン総額1500万円の破格の賞金となっている。1位はなんと900万円、2位は400万円、3位タイはそれぞれ100万円の金額設定だ。そしてPro-JP 2025を勝ち抜けば、ワールドチャンピオンシップへと参加可能となり、その先に優勝を果たせば「CAPCOM CUP 12」出場チームとしてエントリーすることが出来るのである。まだまだ試合展開がどうなるか見逃せない状況であるが、ジャイアントキリングも大いにあり得る熱い展開に期待したい。