eスポーツ業界で光る若年層 AREA310とeスポーツ高等学院が快挙
eスポーツにおいて選手の確保は常に必要とされており、若い世代の選手をいかに選抜し育成し、成績を残すのかで今後のチームや団体の評価は大きく変わってくる。今回は若年選手をターゲットとした2つの話題を取り上げる。
eスポーツ高等学院がその名を高める結果を残す

株式会社ディー・エヌ・ケーとeスポーツ業界大手であるNTTe-Sportsが産学共同で設置した、eスポーツ専門スクールである「eスポーツ高等学院」。日本発のeスポーツスクールである同校を運営する株式会社ディー・エヌ・ケーは、12月9日に、東京都渋谷区の学舎「シブヤeスタジアム」所属の生徒3名のチームが、第3回「NASEF JAPAN 全日本高校e スポーツ選手権」にて優勝を果たした事を発表した。
NASEF JAPAN 全日本高校e スポーツ選手権は、NASEF JAPAN/ナセフジャパ ン(特定非営利活動法人北米教育e スポーツ連盟 日本本部)が主催する高校生の大会である。今回優勝を飾ったタイトルは「APEX LEGENDS」部門。同部門では10月から予選が行われており、105校・143チームのエントリー。予選の選抜を経て決勝大会が 2025年12月7日(日)にオンラインで開催される事となった。
最終的に決勝大会に出場を果たしたのは、予選を勝ち抜いた20チーム。試合形式は5試合のバトルロワイヤルを行い、獲得ポイントの合計によって順位を確定するというものである。今回優勝を果たしたのは、eスポーツ高等学院所属の2年生のみで構成されたチーム「英雄おさかなver2」。第1・2試合では獲得ポイントが低かった同チームであったが、第3試合で26名撃破という奮闘ぶりを発揮。他プレイヤーを倒して得られるポイントがここに来て大量獲得となり、同試合後に1位の順位に急浮上を果たす。続く第4試合ではその流れをキープし1位のまま試合終了。逃げ切りが功を奏し、今大会総合優勝の栄冠を勝ち取ったとの事である。
今回の試合では英雄希望選手、ugiugii選手、mido選手が優勝を果たす事となったこの大会。eスポーツ高等学院の姉妹校などもエントリーを果たしてはいるが、昨今増え続けるこのタイプの教育機関のせめぎ合いだけあり高いレベルの試合が繰り広げられたとの事だ。今後の業界拡大に対する若手の虎の穴として、一躍その名を轟かせたと言えるだろう。
AREA310のドラ右選手がUnder18 eスポーツプレイヤー賞を受賞
株式会社アプリシエイトは12月10日、同企業が運営するeスポーツチーム「AREA310(エリアサンイチマル)」の大乱闘スマッシュブラザーズ部門に所属するドラ右選手について、日本eスポーツアワード2025のUnder18プレイヤー部門を受賞した事を発表した。

日本eスポーツアワードとはプレイヤーやプロチームのみならず、eスポーツ市場を支える企業、団体にも幅広く焦点を当て、地方創生、社会貢献、生涯功労など多岐にわたるカテゴリーで卓越した功績を讃えるものであるとしている。公式ホームページで確認できる範囲では「年間最優秀eスポーツプレイヤー賞」の他に、格闘ゲームやシューティングゲームなど、各ジャンルで多大な活躍をした人物に対して賞が贈られるようである。今回授賞式は2026年1月12日に、パシフィコ横浜ノースにて開催されるとの事である。
今回ドラ右選手が受賞したのは「Under18eスポーツプレイヤー賞」という、18歳以下のプロプレイヤーや高校生以下を対象としたeスポーツの次世代を担う若手プレイヤーを対象とした賞である。同選手は兵庫県出身で現在16歳の若手プレイヤー。2023年8月、AREA310スマブラ部門発足と同時に当時13歳の若さで加入。「Riptide」「Supernova」といった米国大会で準優勝の戦績を収め、今年開催の大会「篝火#14」「LVL UP EXPO 2025」で共に優勝を果たし、大乱闘スマッシュブラザーズの最有力プレイヤーとして名を馳せている。プレイヤーの強さをランク付けする世界ランクであるLumiRank(現UltRank)では上半期第一位につけるなど、現状最強の名を冠するに相応しい評価が付いている。
AREA310は現在スポンサーを募集している状態である事もあり、今回ドラ右選手が有力選手として表彰される事は同チームにとっても大きな追い風となるだろう。大乱闘スマッシュブラザーズシリーズも、大手格闘ゲーム程ではないが賞金制大会が各地で開かれる程の人気タイトルである。今後ドラ右選手はチームを牽引する有力選手として、さらなる飛躍が期待される所だ。
eスポーツという競技は、競技の参加年齢も限界年齢も、通常のプロスポーツと比べ非常に若く、そして潜在的な競技人口が非常に多い。日本においても世界に名だたるeスポーツの根拠地となれるように、若手の育成や有力選手の輩出など、競技定着の土台を築く事が急務となるだろう。