Hard Rock × インディアン・カジノの新拠点「Tejon」 — 南カリフォルニア最大級のカジノリゾート開業へ
カリフォルニア州で建設が進む「Hard Rock Hotel & Casino Tejon」が、現地の観光・カジノ産業で大きな関心を集めている。Hard Rock InternationalとTejon Indian Tribeが共同で進めるこのプロジェクトは、単なるカジノ開業ではなく、総事業費約6億ドルに達し同地域では近年稀に見る大型投資計画となっている。
建設地はベーカーズフィールド南部の広大な保留地で、開業は2025年後半を予定している。南カリフォルニア最大級となるカジノフロアに加え、音楽、食、宿泊施設を一体化した総合型エンターテインメント施設として計画が進んでいる。
ロサンゼルスから車で1時間圏内に位置し、同地域で2番目に近い Class III カジノ(スロット・テーブルゲーム・スポーツベッティングなどを提供する本格型カジノ)となる点も特徴だ。地理的優位性とブランド力が組み合わさることで、開業前からすでに期待が高まっている。

南カリフォルニア最大級のカジノ施設とリゾート全体像
同施設は、総敷地面積が300エーカー(東京ドーム約26個分)を超える大規模プロジェクトで、約1万4,000㎡に及ぶ広々としたカジノフロアには2,000台以上のスロット、66台のテーブルゲーム、ビデオポーカーが導入され、南カリフォルニアでも屈指のラインナップになるとみられている。
また、アジアンゲーミングルームも設けられ、アジア文化の要素を取り入れた上質な空間で、専用キャッシャーとトイレも備えた落ち着いた環境の中でプレイができる。
アジアンゲーミングルームのすぐ隣には「YouYu Noodle Bar」があり、プレイヤーは本格的なヌードル料理を同時に楽しめる。
スポーツベッティングエリアには大型スクリーンやラウンジシートを設置する計画で、試合観戦とベッティングを同時に楽しめるスポーツブック体験が提供される見通しだ。デジタル管理システムや最新の換気設備も採用され、快適性と運営効率の両方を強化される。
さらにリゾート全体には、ライブ会場、複数のレストラン、ショッピングエリア、プール、スパなどが集約され、宿泊からエンターテインメントまでを一体で楽しめる総合施設になる予定だ。
また、建設と運営によって生まれる雇用は数千人規模とされ、周辺では道路拡張や交通アクセス改善とインフラ設備も進行中だ。カジノ部門とエンターテインメント部門を両軸にした集客モデルにより、長期滞在を促す効果も期待されており、地域経済全体を押し上げる存在として関心が寄せられている。
インディアン・カジノとHard Rockが築く新しい運営モデル
この施設が注目される背景には、Tejon Indian Tribe と Hard Rock International による共同運営モデルがある。アメリカのカジノ産業では、先住民族が自治権を持つ保留地で運営する「インディアンカジノ」が大きな勢力を築いている。
最新のAGAデータ(14ページ参照)によると、全米403軒のランドベースの商業カジノに対し、インディアンカジノは 537軒と商業施設数を上回っている。この数字からも、インディアンカジノはアメリカのカジノ産業を支える中心的存在となっていることがわかる。
Tejon Indian Tribe は連邦政府に承認された正式な部族政府であり、土地開発や経済活動を自らの判断で進めることができる自治権を持つ。本プロジェクトもその権限を活用した合法的なカジノ開発モデルの一つで、部族にとっては歴史的な土地を活かした長期的な経済基盤づくりという意味を持つ。
Hard Rock International は世界的にホテル・カジノを展開する企業で、その運営ノウハウとブランド力が部族政府の運営権と結びつくことで、文化保全と観光開発を両立させる体制が整えられている。
この共同モデルは、カジノ利用者に限らずライブやイベント目的で訪れる新しい層も取り込む狙いがあり、今後も国内外からの注目がさらに高まる見通しだ。