違法ギャンブル宣伝で有名インフルエンサーを監視 フィリピン当局が本格摘発へ
フィリピンのサイバー犯罪対策機関 CICC は、無許可のオンラインギャンブルを宣伝したとして、国内外の人気インフルエンサー約30名を“監視リスト”に登録したとGambling Insiderが報じた。SNSでの影響力を背景に、違法ギャンブルの拡散が広がっている状況を受け、政府が本格的な取り締まりに踏み切った形だ。

今回リストに含まれたインフルエンサーは、フォロワー数110万~920万人を抱える人気クリエイターが中心で、主な活動プラットフォームは X、Facebook、TikTok、YouTube など多岐にわたる。CICC は無免許ギャンブルの宣伝行為を「消費者トラブルを誘発する重大リスク」と位置づけ、必要に応じて法的措置を実施する可能性があると警告した。
今回の措置は初めてではなく、今年7月にも同機関は“違法ギャンブル宣伝の即時停止”をインフルエンサーへ警告。しかし宣伝活動が続いたため、対象者の実名公表および詳細調査に踏み切り、正式に フィリピン国家警察(PNP–ACG)へリストを提出した。オンラインギャンブルが急速に普及する中、宣伝に関わる個人そのものが規制の対象となる動きが明確になり、健全な市場形成に向けた政府姿勢がさらに強まっている。
監視リスト化の背景と高額報酬の実態
今回の強い措置の背景には、SNSを通じた違法ギャンブルの広がりが若年層を中心に深外発の無許可サイトがSNS経由で国内ユーザーを誘導するケースが増加してるうほか、CICCのParaiso副局長は、一部のインフルエンサーは週50万ペソ(約130万円)以上の報酬が市は割れていたケースもあるとインタビューで明かしている。こうした高額インセンティブが宣伝行為を後押しし、規制網をすり抜けるマーケティング型の違法勧誘が広がっていたことが問題視されていた。
特に今回のリストにはフォロワー数が数百万単位の知名度ある人物が複数含まれており、その影響力と拡散力が問題視された。CICCは「宣伝を行ったインフルエンサーも責任を負うべき」と繰り返し強調しており、今回の措置はオンラインギャンブル規制の新たな段階に入ったことを示している。
今後の影響と規制強化の行方
今回の監視リスト公表は、フィリピンのみならずアジア全体のギャンブル規制に波及する可能性が高い。特にインフルエンサーを直接対象とする規制は世界的にも珍しく、プロモーション手法そのものにメスを入れる動きとして注目される。今後は、広告主であるギャンブル事業者だけでなく、宣伝を担う個人・代理店・SNSプラットフォームも規制フレームに組み込まれる可能性が高い。
CICC は今回の措置を「捜査の初期段階」と説明しており、今後は罰金・摘発・SNS企業との情報共有など具体的な法的プロセスが進む見通し。また、影響力の大きい個人がどこまで責任を負うべきかという議論も国際的に広がりつつある。
さらに、他国でもギャンブル広告の厳格化やステルスマーケティング規制が進んでいることから、今回の取り締まりは地域全体の規制強化の “前兆” となる可能性もある。オンラインギャンブル市場の健全化に向け、個人発信者の監督が新たな焦点となるだろう。