e-Sportsを今後のキャリアに活かすための取り組み2選

 e-Sportsに興味を持ち、そしてそれに取り組もうとするための門を叩こうとする若年層は年々増えている。そしてそういったプレイヤー全員がそのフィールドに立てる訳ではなく、選ばれた勝者の影には、無数の背を向けたプレイヤーが存在する。ゲーマーとしてではなく「ゲームが好き」でありながらも社会で生き続ける為の受け皿が求められているのも、最近の傾向として見られつつある。本記事ではそんな取り組みを行う企業や団体についてピックアップをしていく。

ゲーたま告知画像

ゲームが好きな企業で働くために

 GLOE株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:谷田優也、古澤明仁、東証グロース:9565、以下「GLOE」)は、ゲームが好きな社員がいたりeスポーツ部があるなどゲーム文化のある企業限定のゆるふわ合同企業説明会「ゲーたま」を2025年12月7日(日)に開催することを11月10日に発表した。

 同社はGAMING LIFESTYLE Companyを標榜しており、ゲーマー就活生と『ゲームフル企業』の“架け橋”となることを目指し、就活支援プロジェクト「COLORLeSS(カラレス)」を運営している。その取り組みの一環として、2025年4月に、「業界や職種を知るきっかけがない」「自分に合いそうな企業に出会えない」といった就活生の声を企業に届けるべく、ゲームフル企業のみが参加する合同説明会「ゲーたま」第1回を開催した。

 ここで取り上げられているゲームフル企業とは、社内でゲームを通じた交流が盛んであったり、趣味としてゲームを続けやすい企業を、カラレス側が「ゲームフル企業」と定義した名称である。このタイプの業界を問わずゲームに親和的な文化や価値観を持っていることが条件となっている。

 4月の第一回開催時にはエンタメ・IT・人材・メーカーなど幅広い業界から8社が出展し、約100名のゲーマー学生が参加。会場での交流の他に「ゲーたま」終了後もDiscord上でのフラットな交流や、ゲームプレイを交えたコミュニケーションを通じて、企業の内面やリアルな雰囲気に触れる機会を多く設ける事が出来たという。参加した企業の中には、10名の内定者が出た出展社もいるとの事である。

 第2回で既に発表されている出展者は、様々な事業に手を伸ばす意欲的なベンチャー企業であるesspride株式会社と、動画配信事業を中核に周辺へのIP拡大を目指していく株式会社ドズルの2社である。特に株式会社ドズルは代表取締役社長が配信者という異例の企業であり、昨今の配信・実況プレイなどのゲームを取り巻く事情に対してかなり理解が深い企業と見られる。

 eスポーツプレイヤーとして業界の先端に立ち続ける以外にも、社内のコミュニケーションツールや対外的なアピールの一つとしてゲームの腕や知識を活かす機会が最近では増えてきている。これまであまり趣味として言い難かったゲームが、自分の心強い味方として機能してくれる受け皿と出会える良い機会となるだろう。

次世代の人材を担うe-Sportsというビーコン

 11月6日、株式会社NTTe-Sports(代表取締役社長:原田 元晴、以下「NTTe-Sports」)は、2025年4月に開校したNTTe-Sports高等学院において、企業・団体と連携した教育支援の新たな取り組みとして「スクールサポーター制度」を開始したことを発表。これに伴い、制度に賛同する企業・団体の募集を開始したことを同時に告知した。

 NTTe-Sports高等学院は、NTT東日本グループが2025年4月に千葉県千葉市に開校した通信制サポート校である。NTTe-Sports高等学院は「eスポーツに夢中になってもらう」ことを主軸としてカリキュラムを組んでおり、一般的な高校とは違いeスポーツ種目に触れる時間が毎日定期的に組まれている他、デジタル領域の技能を磨くプログラミング講座などの時間も多く取られている。そのため学校としての特色は、いわゆる進学校や総合校とは違い、専門学校へとエスカレーター可能な高校という位置付けになるだろう。とはいえ生半可な設備で学校法人が成り立っている訳ではなく、一人一台利用可能なゲーミングマシンが設置されているという設備の充実ぶりを誇る。

 今回のスクールサポーター制度は、今後業界の一翼を担う若手に対する投資としていわゆるクラウドファンディングに近い形態を取っている。支援された資金についてはカリキュラムの充実や企業向けのキャリア研修制度の拡充などに利用するものとしている。また施設利用料金の割引など、幾つかの特典も併せて用意しているとの事である。もちろん輩出される生徒の将来の就職先として、支援者となり認知度を高める事で有利な関係を築くことが出来るというのは企業側としては大きなメリットである。

 e-Sportsという土壌で育つのは、何も一流のプレイヤーだけではない。そこから出てくる無数の可能性をいかにキャッチアップしていくか、そしてゲームといかに関わっていくかで今後の企業の趨勢が見えてくるのかもしれない。

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