日本最大級のモータースポーツの祭典「JAF MOTOR SPORTS AWARD 2025」にてJAF公認Eモータースポーツリーグ「UNIZONE」が表彰へ

 11月10日、一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)は、全日本選手権シリーズ等、今年の国内四輪モータースポーツの各分野で活躍された方々を表彰する「JAF MOTOR SPORTS AWARD 2025」(2025年JAFモータースポーツ表彰式)を、11月28日(金)、グランドニッコー東京 台場にて開催すると告知した。公式サイトでの無料ライブ配信も予定しているという。

 近年日本のモータースポーツは、Eモータースポーツや女性限定カーレースなどの新たなカテゴリーも登場し、性別や年齢、キャリアにかかわらず、多くの人が参戦・熱狂できるスポーツとして盛り上がりを見せているようだ。そんな中での今年のJAF MOTOR SPORTS AWARDでは初めて、JAF公認Eモータースポーツリーグ「UNIZONE(ユニゾーン)」ならびに女性同士がイコールコンディションで競い合うカーレースシリーズ「KYOJO CUP(競争女子)」の表彰が行われる。また、Webファン投票等をふまえて選出された「ドライバー・オブ・ザイヤー2025」の発表も本式典の見どころとなっている。

JAF MotorSportsAward 2025のロゴ

 本記事では今回初めての表彰となるeスポーツのモーターレースカップであるUNIZONEを掘り下げていくことにしよう。

日本におけるeスポーツレースカテゴリの金字塔となるか

 UNIZONEは正式名称「2025年JAF公認E モータースポーツリーグ UNIZONE e-Motorsport League」というものである。その名の通り、JAF公認のEモータースポーツリーグとなっている。より平易な言い方をしてしまえば、一般社団法人 日本自動車連盟がeスポーツとして特定のタイトルを種目として選抜したグランプリレースとなっている。レースゲームとして数多くのタイトルが出る中で、これまでJAF公認を勝ち取るタイトルはなかったのである。そのため他のeスポーツとしてのレースゲームはあくまで「レースゲームの大会」であったが、これに限っては「モータースポーツの公認大会」というまったく違う位置づけとなっている。このために「一般般社団法人 日本eモータースポーツ機構JeMO(略称ジェモ)」という団体まで作っている。

 今回そのタイトルとして選ばれたのは「iRacing」。同作はレーシングシミュレーターとして実在のコースをスキャンした超本格的なレースゲームである。操作に関してはハンドルコントローラーが推奨される程で、実際に専用のコックピットを一式組んでプレイするユーザーが後を絶たないほどだ。最大の特徴はオンラインで他のレーサーとリアルタイムにレースが出来るシステムであり、またマシンのカスタマイズにおいてもその要素は多岐にわたる。この製品クオリティを維持するのが同タイトルの集金体制であり、なんと「月額制」である。初期費用は$9.99、その後$12.99を毎月支払う形となる。他のレースゲームとは一線を画する本格派レーシングシミュレーターとして、確固たる地位を築いているのだ。

 今回開催された大会にはオーガナイザーとして一般社団法人日本eモータースポーツ機構(JeMO)が参加しており、このオーガナイザーより必要なコックピット(フレームおよびシート)、ハンドルコントローラー、ゲーミングモニター、ヘッドセット、ゲーミングPC、インターネット回線機器が提供される。また使用車種やコースについても制限が掛かっており、後は車両のカスタマイズだけが許されている状態だ。

 大会は2025年2月24日(祝・月)に群馬県高崎市のビエント高崎 ビッグキューブにて開催。5チームが現地とオンラインで参加し、様々なレース種目を競い合いながら総合成績を競う事になった。その後は9月23日までの計5回のラウンドで開催。群馬、熊本、名古屋、浜松、東京の各チーム拠点からオンラインで介した選手とそれを応援するサポーターが盛り上がる中、同日付けですべてのラウンドを終了。最終的には名古屋OJAチームが全ラウンドを合わせた総合成績で1位となり、勝利の栄冠に輝いた。

工夫をこらすモータースポーツ業界

 東京都下で開催されたモータースポーツとしては、公道レースとなるフォーミュラeである2024年東京 E-Prixが開催。これは公道を使用した電気自動車によるリアルのフォーミュライベントとして高い評価を得たが、それだけでは若者に対する訴求力は足りない状況であった。今回開催されたUNIZONEは、フォーミュラeとは逆のモータースポーツをバーチャル・リアリティ上で繰り広げるレースイベントである。そのため環境やルールさえ整っていれば、場所や距離を問わないものである。これにより、通常のモータースポーツよりは遥かに低い初期投資でモータースポーツ然とした競技に参戦できるのだ。

 排ガス規制や経済状況の低迷などにより、若年層を中心にモータースポーツから離れてしまって久しいという声がよく聞かれるものである。コントローラーでのレースゲームにとどまらない本格的な「レース」の普及が、このイベントにより加速することを祈ってやまないものである。

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