東京eスポーツフェスタ2026にてパラeスポーツプレーヤーエキシビションマッチ開催、ストリートファイター6の挑戦者よ来たれ

2026年1月10日(土)、東京ビッグサイトにて開催される「東京eスポーツフェスタ2026」にて、ステージイベント開催が決定。「パラeスポーツプレーヤーとのエキシビションマッチ」と題されたコーナーにて、株式会社ePARA(本社:埼玉県戸田市、代表取締役:加藤大貴)所属の難病格闘ゲーマー・Jeniとブラインドeスポーツプレイヤー・NAOYAが出演する事が決定したと株式会社ePARAから12月2日に発表が行われた。
今回開催される「エキシビジョンマッチ」で用いられるタイトルは、対戦格闘ゲーム「ストリートファイター6」だ。先述したように、今回プロプレイヤーとして参戦するのはJeni選手とNAOYA選手の2名。両選手ともストリートファイター6のトッププレイヤー帯に属する「マスター」クラスの階級であるが、それこそプロ選手であればマスタークラスのプレイヤーも多い界隈である。だがマスターである事が驚異なのではない。両選手とも、独自にカスタマイズされたデバイスや支援システムを用いてハンディキャップをものともせずに戦うという「パラeスポーツプレイヤー」であるのだ。
必勝の鍵は顎にあり、Jeni選手

今回エントリーする一人目の選手はJeni選手だ。同選手は1994年に岩手県で生まれ、現在は同県を中心にした対戦会イベントの主催を務めるなど積極的な活動を行っているプロeスポーツプレイヤーだ。そんなJeni選手が苛まれている病は「デュシェンヌ型筋ジストロフィー症」という難病である。同症例は男児が影響を受ける重症型の筋ジストロフィーであり、通常であれば筋力低下は4歳前後から始まり、急速に悪化する。筋肉の喪失はまず大腿や骨盤周囲の筋肉、続いて腕でみられるようになり、その結果起立困難となる。患者の大部分は12歳までに歩行が困難になるなど、次第次第に症状がどんどんと悪化の一途を辿っていく。そしてJeni選手の症例は突然変異型ではなく遺伝型であり、生まれると同時にこの病と付き合っていかなければならない身体であったのだ。
そんなJeni選手がのめり込んだのは格闘ゲームであり、行動できる範囲が狭まる10代時期において同選手を救ったのが「ストリートファイター」シリーズである。格闘ゲームであれば手先の操作で自在にキャラクターを操作出来ると共に、努力した結果がプレイに反映される「やればやるだけ結果に繋がる」タイトルであったことが、同選手の心に灯火をもたらしたのだという。
だが症状の進行は無慈悲であり、両手でコントローラーを握ることすらできなくなってしまった。しかしそこでJeni選手は諦めず、顎で操作する事が可能な専用コントローラーを仲間と共に開発し、これを使用しストリートファイター6ではマスター帯に到達。圧倒的な実力を持ちながらも、ストイックなプレイ姿勢は多くのプレイヤーに感銘を与える事となったのである。なおラスベガスで開催される世界最大規模の格闘ゲーム大会「EVO 2024」にも出場を果たしており、参加者5,300人中257位とかなりの成績を残している。
音を手繰る暗闘の旗手、NAOYA選手

エキシビションマッチ二人目のエントリーはNAOYA選手。同選手が抱えた病は「小眼球症」という先天性の疾患である。これは文字通り眼球のサイズが人より小さく形成されてしまう病であり、病態としては角膜、水晶体、網膜・硝子体などの発生異常に伴って眼球の発達が障害されて起こるものも多いとされている。発生割合は1万人に1人の割合であり、根本的な治療法は見つかっていない。場合によっては義眼を入れて生活する事もあるという。
そんなNAOYA選手も幼少期よりゲームが好きであったが、視界自体はおぼろげであり、二十歳まで色と光が見えていた程度であったという。そんな中で頼りとなるのはゲームから発せられる「音」であった。
同選手が現在全盲のプレイヤーとして初のマスターランクへと輝いたストリートファイター6をはじめ、一部のゲームタイトルには「サウンドアクセシビリティ」という音の強弱や特定の効果音でシチュエーションの発生や程度を伝えるシステムが搭載されている。これにより目が余り見えないプレイヤーであったとしても、音を頼りにゲームを遊ぶ事が可能となるのである。NAOYA選手はこれをフル活用して見事にマスターランクへと到達。通常のプレイヤーでも到達困難なランクであるが故に、達成時には祝福の声が数多く寄せられたとの事だ。同選手はEVO Japan 2025にも出場を果たしており、大会中に見事勝利を収めている。またゲームプレイヤーとしての顔以外にも声優・ナレーターや就労移行支援事業に携わるなど多彩な才能を発揮している。
ただのプレイヤーにあらず、己の逆境を克己してマスターまで上り詰めた兵が相手となるエキシビションマッチ。参加申し込みは12月5日まで、申し込みフォームより受付中だ。