東京eスポーツフェスタ2026企画内容が決定 語られるeスポーツ業界におけるドーピング問題

Tokyo eスポーツフェスタの画像

 2025年12月26日、一般社団法人日本eスポーツ協会(会長:早川英樹、以下JESU)は、2026年1月9日(金)から11日(日)にかけて実施される「東京eスポーツフェスタ2026」実行委員会の構成団体として、実施する企画が決定した旨の通知を行った

 「東京eスポーツフェスタ2026」は 、2020年から開催を続けているeスポーツの普及と関連産業の振興を目的とするイベントである。7回目の今回も、これまでに引き続きリアルとオンライン双方のメリットを活かしたハイブリッド方式で開催するとの事だ。公式サイトでは更に詳細な内容やスケジュールを提示している。

本イベントは、eスポーツの活性化を図る「eスポーツ競技大会」、関連産業の振興を図る「eスポーツ関連産業展示会」、eスポーツや関連技術などについて学べる「セミナー・学習企画」など、さまざまな企画によって構成されている。1月9日のビジネスデイではパネルディスカッションが開催される他、一般参加日である1月10日、11日でも様々なセッションが開催される事になる。今回の記事ではそのセッションの一つ「アンチ・ドーピングで実現するクリーン&フェアなeスポーツ2026」に注目してみよう。

eスポーツとドーピング問題

 同イベントでこのカンファレンスが持たれたのは次の様な理由であると公式側は明記している。eスポーツの発展に伴って、アンチ・ドーピング活動への取り組みが国際的に進んでいる状況である。この流れで、日本を代表するeスポーツ組織である一般社団法人日本eスポーツ協会(JESU)は、2021年1月に公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟を果たした。

 2023年9月に開催されたアジア競技大会では、eスポーツが初めて正式競技となり、他の競技と同様に eスポーツアスリートもドーピング検査が行われ、アンチ・ドーピングについて学ぶ必要性が出てきている状況だ。そして2026年に愛知県名古屋市で開催されるアジア競技大会においても、11のeスポーツ種目が採用されている。

 そこで今回のイベントでは、JESUアンチ・ドーピング部会の部会長である山本 宏明氏(JESU 医事委員会 委員長/アンチ・ドーピング部会 部会長/日本陸上競技連盟医事委員会 副委員)と、eスポーツアスリートであるマゴ選手(「ストリートファイター6」のJESUプロライセンス保有選手。第19回アジア競技大会日本代表、VARREL所属)が登壇。eスポーツとアンチ・ドーピングについて参加者と共に学んでいく機会を設けるとの事だ。

 実際にスポーツにおけるドーピングに対しては、一般的にイメージされる「麻薬・ドラッグ」とは大幅に要件が違うものである。一般社団法人日本スポーツ栄養協会の公開している記事では、2024年の調査結果ではあるもののドーピングに対する調査データについて241人を解析対象としたものの分析を行っている。

 同記事によると「eスポーツにドーピングの問題はあると思うか?」という問いに、「はい」「いいえ」「答えにくい」という選択肢の中で、「答えにくい」が39.0%と最も多く選択され、続いて「いいえ」が35.7%、「はい」が25.3%であり、少なくてもeスポーツアスリートの4人に1人以上はドーピング問題の存在を明確に認識していたという。次に、身近な人における合法物質の使用状況を尋ねると、最多の回答は「多くの人(many people)が使用している」で47.3%とほぼ半数に及んだ。その他は、「わずかな人(few people)が使用している」が24.5%、「使用していない」が20.7%、「答えにくい」が7.5%だった。具体的に挙げられた合法物質は、エナジードリンクが97.8%と大半を占め、次いでコーヒーが81.6%、ビール29.7%、ハーブ15.7%であり、「入手可能な薬剤」も15.1%を占めていた。

 実際に世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が禁止している物質の中にはインスリン類や模倣物質(模倣剤)、医療用鎮痛剤として使用されるフェンタニル、筋肥大などの症状に適用されるミオスタチン発現を減少あるいは除去する物質(阻害薬)、プレドニゾロンの様な糖質コルチコイドなど、特定疾患に対して有効作用のある薬剤は少なくない。

 ここまで見てお分かりの通り、eスポーツを競技種目として適正に運用させようとした場合、一般的な彼らに対するイメージの「エナジードリンクを常飲している」「ゲームばかりしていて健康を害している」という様な指摘は、まったくもって的外れな事が言うまでもないだろう。むしろ健康でなければこれらの基準に引っかかってしまうのである。

 eスポーツはたかかゲームと侮ることなかれ、リーグ・オブ・レジェンドの様なタイトルでは1試合が40分超えの様な展開となることもザラにある。短期決着となる格闘ゲーム系タイトルであっても、数十秒を極限の集中力をもって相手と対峙しなくてはならない。この点において見るならば、既存の身体を使用したスポーツと比較して遜色は無いものと見て良いだろう。

 だからこそ、eスポーツが「スポーツ」として見られる為に襟を正さねばならない時が来ている事は言うまでもない。ともすれば娯楽との距離が近しい種目であるが故に、スポーツとして良く見られる事を望むのならば、きちんとした自浄作用を設け、そのうえで選手の側からしっかりとこの手の薬剤に対し利用をしないだけの健康さとコンプライアンスを持つ事が求められているのである。

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